御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「旦那さん、朝倉さんを溺愛するのも……ほどほどにしてくださいよ。」

「……はあ?」

律さんは、半分聞いていない。
むしろ私しか見ていない。

「仕事中も、旦那さんのことばっかり考えて、手が止まってるんです。こっちは心配になるくらい。」

「……それは、申し訳ない。」

なぜか律さんが真面目に謝ってるし。

でも表情は、全く悪びれていない。

「まあ、こんなイケメンに溺愛されてたら……夢も見ますよ。俺が朝倉さんでも、そうなりますって。」

すると律さんは、ふいに一歩、前へ出た。

真っ直ぐ滝君を見つめる。

「……夢じゃない。」

凛とした声。

その響きに、場の空気がピンと張りつめた。

「これは、現実。俺は本当に千尋を愛している。」

滝君が、一瞬言葉を失った。

隣にいる私の頬も、熱くなる。

──夢のような現実。

そして私は、そんな現実を手に入れたのだと、改めて思った。
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