フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
「仕事に私情を挟むのはよくないよ?」
「そっちでしょ!」
そこで、経理課長の植島(うえしま)が「ふ、ふたりとも……」と止めに入った。
「喧嘩しないで。太田くん、その件については僕ももう一度検討してみるから……」
植島は身体は大きく一見強面だが、実はとても気が優しい。だから遠慮なくやり合うふたりを見ているとハラハラするのだろう。
ラップに包まれた自作の特大シャケおにぎりにかぶりつき、そんな三人を見守る楓は「大丈夫ですよ、植島課長」と心の中で呟いた。
企画課の水と経理課の油、なんて言われているふたりだが、実は相性バツグンだというのが楓の個人的な見解だ。
太田は本気で経費精算を認めてほしいわけではなく、ただ山口をからかっているだけ。仕事の合間の息抜きみたいなものだろう。経費精算の申込書をわざわざ山口個人宛に送ったのがその証拠。
山口もそれをわかっているからこそ、課長の意見を聞くことなく突き返した。
「ダメですよ課長、甘やかしたら、こいつどんどんつけ上がって、彼女ができたらデート代も出せって言い出しますよ」
「あ〜! そうなったら、ぐっちゃん泣いちゃうね〜」
おろおろする課長をよそに言い合うふたりを見るうちに、楓の頭の上に、もわんもわんと妄想が膨らみ、完全なるフィクションの世界が広がった。
脚本は、藤嶋楓。
山口と太田はこう見えて、実は秘密の恋人同士。ふたりの仲がバレないように、わざと犬猿の仲に見せかけている。
山口、拗ねたように上目遣いで太田を見る。
——ねぇ、太田、なんで会社であんなこと言うの? 私たちのことがバレたらどうするのよ。
太田、優しく笑って山口の頭をポンポンとする。
——いいじゃないか、ぐっちゃんは俺のものだと全社員にアピールしなきゃ。
——もーやだ、太田ったら。
ふたり抱き合い……。
「そっちでしょ!」
そこで、経理課長の植島(うえしま)が「ふ、ふたりとも……」と止めに入った。
「喧嘩しないで。太田くん、その件については僕ももう一度検討してみるから……」
植島は身体は大きく一見強面だが、実はとても気が優しい。だから遠慮なくやり合うふたりを見ているとハラハラするのだろう。
ラップに包まれた自作の特大シャケおにぎりにかぶりつき、そんな三人を見守る楓は「大丈夫ですよ、植島課長」と心の中で呟いた。
企画課の水と経理課の油、なんて言われているふたりだが、実は相性バツグンだというのが楓の個人的な見解だ。
太田は本気で経費精算を認めてほしいわけではなく、ただ山口をからかっているだけ。仕事の合間の息抜きみたいなものだろう。経費精算の申込書をわざわざ山口個人宛に送ったのがその証拠。
山口もそれをわかっているからこそ、課長の意見を聞くことなく突き返した。
「ダメですよ課長、甘やかしたら、こいつどんどんつけ上がって、彼女ができたらデート代も出せって言い出しますよ」
「あ〜! そうなったら、ぐっちゃん泣いちゃうね〜」
おろおろする課長をよそに言い合うふたりを見るうちに、楓の頭の上に、もわんもわんと妄想が膨らみ、完全なるフィクションの世界が広がった。
脚本は、藤嶋楓。
山口と太田はこう見えて、実は秘密の恋人同士。ふたりの仲がバレないように、わざと犬猿の仲に見せかけている。
山口、拗ねたように上目遣いで太田を見る。
——ねぇ、太田、なんで会社であんなこと言うの? 私たちのことがバレたらどうするのよ。
太田、優しく笑って山口の頭をポンポンとする。
——いいじゃないか、ぐっちゃんは俺のものだと全社員にアピールしなきゃ。
——もーやだ、太田ったら。
ふたり抱き合い……。