皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「演説では率直な意見を述べられ、王妃としての心構えが明確に感じられました。また、公爵令嬢というご身分を余すところなく活かし、皇太子殿下と二人三脚で国政を支えていく覚悟が見て取れます。」

試験官の声は穏やかで、厳粛な場にふさわしい落ち着きを帯びていた。

私は思わず背筋を正す。

そして最後に、試験官がふっと頬を緩め、にっこりと微笑んだ。

「何より印象深かったのは──セラフィーヌ様が皇太子殿下を深くお慕いしているということ。見ているこちらが恥ずかしくなるほどに、まっすぐな愛情を感じました。」

その瞬間、どよめきが起こる。

そして場内のあちこちから自然と拍手が湧き起こった。

まさか、この場で私の“想い”が評価されるとは思っていなかった。

けれどそれが、こんなにも胸に満ちる喜びになるなんて──。

視線を上げると、玉座の前に立つアレシオ殿下と目が合った。

彼は、静かに微笑んでいた。
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