半妖の九尾の狐は神巫女を独占中
第３章

夏祭りと神楽

「神楽を踊る？」



「そう。２週間後、この社(やしろ)でお祭りがあるんだ。その時に神巫女である悠乃に神楽を舞って欲しいんだ」



夏祭りの時期になるのと同時に、玖夜様からお祭りの事を聞かされた。



内容を聞く限り、ここ何年かは神巫女がいなかったから祭りはやっても神楽は舞ってなかったみたい。



だけど、今回は神巫女として着任した私がいるから舞うことになったようだ。



「私、神楽なんて舞えませんよ？」



「大丈夫、私が教えるよ。元々は神として祀られていた私が舞っていたからね。手取り足取り仕込んであげる」



玖夜様は優しく微笑んで教えると伝えてくれた。



今は夏休み中だ、練習するには丁度いい。



話を聞かされた翌日、練習を開始することになった。



玖夜様から舞いを教えてもらい、練習を積み重ねる。



１週間経った頃には全ての流れが頭に入り、細々とした所を訂正している所だった。



物覚えはいい方だから問題なく舞えるはず。



だけど、玖夜様からの熱い視線のせいで変に意識してしまって動きが固くなる。



普段ならどうとでもない事なのに、玖夜様から想いを告げられてからそういう視線を受けると、玖夜様は私の事が好きなんだ、と痛感していたたまれない。



私の中で、熱がジリジリとくすぶるような感覚になる。



「悠乃、今の所違うよ」



「え？」



舞いを見ていた玖夜様は、私に近寄って間違いを指摘する。



だけど、意識が別の所に行っていた私はどこを間違ったいたのかわからなかった。



どこを間違えたのか考えていると、背後から玖夜様がピッタリとくっついてきて私の手首を優しく包み込むように握る。



突然の接触に私の胸は高鳴った。



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