年下上司に懐かれましたがその人には好きな人がいて…そんなあなたの気持ちが知りたいです。
大好物には目がない

「千羽弥(ちはや)さぁ〜ん」

はぁ、また来た。

「何ですか?副社長」

「え〜、名前で呼んで!(笑)」

「副社長は副社長ですから…仕事中です」

「じゃあ仕事中じゃなければいいんだ」

「そういう事じゃありません」

パソコンに向かって仕事をしながら対応する鳴海千羽弥(なるみちはや)

ASSH(アッシュ)プロダクションという声優事務所の副社長の工藤皇平(くどうこうへい)はフロアに誰もいないとわかると、いつもこんな感じで声をかけてくる。

いや人がいても同じ?か…どうだったっけ


「ねー、昼飯食った?」

「まだですけど…」

千羽弥は事務所の時計を見ると14時前だった。

比較的朝がゆっくりな会社なのでこの時間の昼食は普通だ。

「誰か帰ってきたら食べに行きますから副社長はお先にどうぞ」

「寿司が食べたい気分なんだよね、一緒に行こ、もちろん奢るよ」

千羽弥のパソコンの手が止まった。


「え?奢りでお寿司?」

「うん、行こうよ」

「でも…私だけは申し訳ないです」

「他の人は僕の仕事の時間が合えばまた連れていくよ」

「本当ですか?」

「ホント、ホント、甲斐(かい)さんもこの前パスタに連れて行ったし」

甲斐さんとは経理を担当している男性社員だ。

「そ、それなら行ってもいいですよ」

「やった〜、で、誰が戻ってくる?」

「え〜と…あれ?みんな現場?かもです」

「ぷっ、アハハッ、それじゃ経理に電話転送しときなよ、僕が言っておくから1階で待ってて」

「…すみません」

「全然いいよ」

そういうと副社長はフロアから出ていった。
< 1 / 55 >

この作品をシェア

pagetop