年下上司に懐かれましたがその人には好きな人がいて…そんなあなたの気持ちが知りたいです。
大好物には目がない
「千羽弥(ちはや)さぁ〜ん」
はぁ、また来た。
「何ですか?副社長」
「え〜、名前で呼んで!(笑)」
「副社長は副社長ですから…仕事中です」
「じゃあ仕事中じゃなければいいんだ」
「そういう事じゃありません」
パソコンに向かって仕事をしながら対応する鳴海千羽弥(なるみちはや)
ASSH(アッシュ)プロダクションという声優事務所の副社長の工藤皇平(くどうこうへい)はフロアに誰もいないとわかると、いつもこんな感じで声をかけてくる。
いや人がいても同じ?か…どうだったっけ
「ねー、昼飯食った?」
「まだですけど…」
千羽弥は事務所の時計を見ると14時前だった。
比較的朝がゆっくりな会社なのでこの時間の昼食は普通だ。
「誰か帰ってきたら食べに行きますから副社長はお先にどうぞ」
「寿司が食べたい気分なんだよね、一緒に行こ、もちろん奢るよ」
千羽弥のパソコンの手が止まった。
「え?奢りでお寿司?」
「うん、行こうよ」
「でも…私だけは申し訳ないです」
「他の人は僕の仕事の時間が合えばまた連れていくよ」
「本当ですか?」
「ホント、ホント、甲斐(かい)さんもこの前パスタに連れて行ったし」
甲斐さんとは経理を担当している男性社員だ。
「そ、それなら行ってもいいですよ」
「やった〜、で、誰が戻ってくる?」
「え〜と…あれ?みんな現場?かもです」
「ぷっ、アハハッ、それじゃ経理に電話転送しときなよ、僕が言っておくから1階で待ってて」
「…すみません」
「全然いいよ」
そういうと副社長はフロアから出ていった。
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