喜びをあなたと一緒に
雨の中の再会
外は、大雨だった。
ザーザーと勢いよく降っており、なかなか止みそうにない。
風邪は冷たく、ずっと外にいたら風邪を引いてしまいそうな程だ。
ひときわ強い風が吹き、身体が震える。
美術館はあと数分で閉館するから、中に入る訳にもいかない。
それに、今は美術館の屋根の下で雨を凌いでいるが、閉館したら出ないといけない。
折りたたみ傘を持ってくるべきだったと後悔するが、もう遅い。
しょうがない。近くのコンビニまで走って行って、ビニール傘を買おうか。
そう思い、スマホのマップアプリで近くのコンビニを検索すると、100m程離れたところにコンビニがあった。
頑張って走ったら、30秒ぐらいで着くかな。そんなに濡れなくて済むかもしれない。
よし。
鞄の紐を強く握りしめ、揺れないように脇をしめる。
覚悟を決めて走り出すと、急に、鞄を持っていない方の手を後ろから引っ張られた。
身体が後ろに傾き、制御できない。倒れる。反射で、ぎゅっと目を閉じる。
トンっ。思っていた何倍も優しい衝撃だった。
それに、温もりも感じる。
おかしい。恐る恐る目を開けると、男の人と目が合った。
「ひゃっ。」慌てて距離をとる。
すると、今度は雨が降ってきて、また飛び退いた。
「あはは。何やってるの。大丈夫?」
あ、朝の男の人だ。
よく見ると、キャリーケースをロッカーに入れてくれた親切な男の人だった。
恥ずかしいところを見られてばかりだ。
何となく目を合わせづらくて、視線が下がる。
「大丈夫です。」
「傘、ないんでしょ。入りなよ。まだ寒いからさ、濡れたら風邪ひいちゃうよ。」
そう言って彼は、自分の方へ手招きした。
「いやいや、そこまでしてもらうわけにはいかないです。朝も助けてもらっちゃったのに。」
「あんなの助けたうちに入らないよ。キャリーケース持ってたってことはさ、観光で来たんでしょ。宿まで送っていくよ。この近く?」
あっ!ホテル予約してない…。
美術館に行くことばかり考えていたから、ホテルを予約するのを忘れていた。
ザーザーと勢いよく降っており、なかなか止みそうにない。
風邪は冷たく、ずっと外にいたら風邪を引いてしまいそうな程だ。
ひときわ強い風が吹き、身体が震える。
美術館はあと数分で閉館するから、中に入る訳にもいかない。
それに、今は美術館の屋根の下で雨を凌いでいるが、閉館したら出ないといけない。
折りたたみ傘を持ってくるべきだったと後悔するが、もう遅い。
しょうがない。近くのコンビニまで走って行って、ビニール傘を買おうか。
そう思い、スマホのマップアプリで近くのコンビニを検索すると、100m程離れたところにコンビニがあった。
頑張って走ったら、30秒ぐらいで着くかな。そんなに濡れなくて済むかもしれない。
よし。
鞄の紐を強く握りしめ、揺れないように脇をしめる。
覚悟を決めて走り出すと、急に、鞄を持っていない方の手を後ろから引っ張られた。
身体が後ろに傾き、制御できない。倒れる。反射で、ぎゅっと目を閉じる。
トンっ。思っていた何倍も優しい衝撃だった。
それに、温もりも感じる。
おかしい。恐る恐る目を開けると、男の人と目が合った。
「ひゃっ。」慌てて距離をとる。
すると、今度は雨が降ってきて、また飛び退いた。
「あはは。何やってるの。大丈夫?」
あ、朝の男の人だ。
よく見ると、キャリーケースをロッカーに入れてくれた親切な男の人だった。
恥ずかしいところを見られてばかりだ。
何となく目を合わせづらくて、視線が下がる。
「大丈夫です。」
「傘、ないんでしょ。入りなよ。まだ寒いからさ、濡れたら風邪ひいちゃうよ。」
そう言って彼は、自分の方へ手招きした。
「いやいや、そこまでしてもらうわけにはいかないです。朝も助けてもらっちゃったのに。」
「あんなの助けたうちに入らないよ。キャリーケース持ってたってことはさ、観光で来たんでしょ。宿まで送っていくよ。この近く?」
あっ!ホテル予約してない…。
美術館に行くことばかり考えていたから、ホテルを予約するのを忘れていた。