契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ～ママになっても愛し尽くされています～

「でも……今はまだ、できるだけ瑚湖の傍にいたいんです」
「もちろんわかってる。だから、最初は短時間から始めて、那湖が休む時間や買い物に行く時間に充てるのはどうだろう？　ひとりで買い物に行きたくないなら、シッターも一緒に行ってもらえれば那湖は落ち着いて買い物ができるんじゃないか」


　それは、魅力的な提案だった。
　たとえば、寝不足でほんの少しでもいいから眠りたい時。
　復帰後のための勉強をしたい時。
　たくさん買い出しをしたい時や、ベビー用品をじっくり見たい時。
　今までは侑李さんが瑚湖を見たり一緒に行ってくれたりしていたけれど、平日に動けるのは助かるかもしれない。


「今から経験しておけば、俺たちの希望も見つけやすいし、瑚湖にとってより快適な環境にするにはどうすればいいのか対策も立てやすい。逆に、これを那湖の復帰と同時にこなすのは、結構な負担になると思うんだ」


　これには大きく共感できた。
　私の体はまだ出産の時のダメージが残っているようで、妊娠前のようにきびきび動けないし、ちょっとしたことでも驚くほど疲れてしまう。
　彼が休みの日に瑚湖を見てくれて睡眠時間を確保できても常に寝不足だし、十分でいいからゆっくりしたいと思う日も少なくはない。


　そして、復帰後の状況は私たちにとって未知だ。
　こういったことを踏まえると、復帰と同時にベビーシッターに頼んで上手くいかなかった場合、それぞれの負担が大きいに違いない。
　だったら、練習のつもりで今から少しずつ慣れていく方がいいのは明らかだ。