記憶を失くした令嬢が、二度目の恋に落ちるまで
第1話 婚約破棄の書状
それから半年が過ぎた、ある夏の日の早朝――。
馬蹄の音が、伯爵家の門前に響いた。
「……リディ!」
ジェイド・マクラーレンは鞍から飛び降りると、震える手で外套の内側をまさぐる。
そこには、父から渡された一通の書状があった。
中には、リディアとの婚約破棄が成立した、という内容が記されている。
(リディ――君に、いったい何があったんだ?)
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第1話 婚約破棄の書状