私が生きる理由
第2話 「秘密」
翌朝。
病院の廊下には、カーテン越しに差し込む朝日がやわらかく伸びていた。
灯は、隣の様子が気になっていた。
晶哉と名乗った青年。
昨日ほんの少し交わした言葉が、ずっと心の中に残っている。
『……おはようございます。』
廊下で顔を合わせたとき、晶哉が先に声をかけてきた。
その笑顔はやっぱり、どこか人を安心させる不思議な力があった。
「おはようございます。もう慣れました?」
『うん、でもベッドがちょっと硬いかな。まあ、僕が柔らかすぎるのかも笑』
「ふふ、確かに細そう」
『それよく言われます。おかけで検査の時、採血の失敗率高めです笑』
軽い冗談話を交わしながら、自然と2人は病院の屋上に足を運んだ。
屋上に行くと、風が吹いていて気持ちよかった。
遠くでは海がキラキラと輝いている。
「私、ここ意外と好きなんだよね。」
灯がポツリ呟くと、微笑みながら晶哉が見つめる。
『灯さんは、いつからここに?』
「半年以上……多分、もっとかも……。」
『……辛くないですか?』
「辛くないって言ったら嘘になるけど、もう慣れた。慣れるしかないの……笑」
灯は笑ってみせたが、その笑顔はどこか苦しげだった。
晶哉は、それを見逃さなかった。
『僕も、多分長く居ると思う』
「そうなの?」
『うん。でも僕の病気は……まぁ、治るものじゃないから。』
その一言で、灯は目を見開いた。
でも、晶哉は話続けた。
『びっくりさせた?でも僕ね、病気だからって人生が止まったわけじゃないって、最近ようやく思えるようになったんです。』
「……羨ましいな」
『え?』
「私は……止まったままな気がして」
ふたりの影が、風に揺れていた。
病院の屋上という限られた世界で、同じ時間を生きている。
同じように、何かを失って、何かに怯えている。
『また話しませんか?灯さんのことも、聞かせてほしい』
「……うん。話すよ。いつか、ね……。」
ふたりの間にあった距離が、ほんの少しだけ、縮まった。
病院の廊下には、カーテン越しに差し込む朝日がやわらかく伸びていた。
灯は、隣の様子が気になっていた。
晶哉と名乗った青年。
昨日ほんの少し交わした言葉が、ずっと心の中に残っている。
『……おはようございます。』
廊下で顔を合わせたとき、晶哉が先に声をかけてきた。
その笑顔はやっぱり、どこか人を安心させる不思議な力があった。
「おはようございます。もう慣れました?」
『うん、でもベッドがちょっと硬いかな。まあ、僕が柔らかすぎるのかも笑』
「ふふ、確かに細そう」
『それよく言われます。おかけで検査の時、採血の失敗率高めです笑』
軽い冗談話を交わしながら、自然と2人は病院の屋上に足を運んだ。
屋上に行くと、風が吹いていて気持ちよかった。
遠くでは海がキラキラと輝いている。
「私、ここ意外と好きなんだよね。」
灯がポツリ呟くと、微笑みながら晶哉が見つめる。
『灯さんは、いつからここに?』
「半年以上……多分、もっとかも……。」
『……辛くないですか?』
「辛くないって言ったら嘘になるけど、もう慣れた。慣れるしかないの……笑」
灯は笑ってみせたが、その笑顔はどこか苦しげだった。
晶哉は、それを見逃さなかった。
『僕も、多分長く居ると思う』
「そうなの?」
『うん。でも僕の病気は……まぁ、治るものじゃないから。』
その一言で、灯は目を見開いた。
でも、晶哉は話続けた。
『びっくりさせた?でも僕ね、病気だからって人生が止まったわけじゃないって、最近ようやく思えるようになったんです。』
「……羨ましいな」
『え?』
「私は……止まったままな気がして」
ふたりの影が、風に揺れていた。
病院の屋上という限られた世界で、同じ時間を生きている。
同じように、何かを失って、何かに怯えている。
『また話しませんか?灯さんのことも、聞かせてほしい』
「……うん。話すよ。いつか、ね……。」
ふたりの間にあった距離が、ほんの少しだけ、縮まった。