めぐり逢い 憧れてのち 恋となる【書籍化】
ずっとそばに
翌朝。
須崎にロビーの演出を見てもらい「いいですね! 素敵です」とOKをもらうと、その足でバンケットホールに向かった。

「青山さん、届いたフラワーアレンジメントはここにまとめて置いてありますので」

須崎に言われて、花穂はテーブルに並べられた20個のアレンジメントを確認する。

大地と大森も、プロジェクションマッピングや音響と照明の打ち合わせを進めた。

「青山、作業終わったら早速リハーサルするぞ」
「はい!」

花穂はフラワーアレンジメントに光る葉っぱや茎を混ぜていく。

なるべく自然の花の美しさを引き立てるように、ひとつひとつ丁寧に仕上げていった。

「浅倉さん、終わりました」
「よし。実際のテーブルセッティングにして、リハーサル始めよう」
「はい」

須崎にも立ち会ってもらい、時間を測りながら通しリハーサルを行った。

「場内の照明、テーブルのアレンジメントが光る時は、グッと落としてくれ」
「了解」
「須崎支配人。風を起こす演出上、テーブルの配置を少しずらしても構いませんか?」

大地は大森や須崎に、次々と改善点を提示する。

もう一度全体を通してリハーサルを行い、満足そうに頷いた。

「よし、これでいこう」
「はい」

真剣な表情の大地に、花穂は早くも胸がドキドキし始める。

開始時刻ギリギリまで何度も確認し、開場の時間が近づくと一旦ロビーに下りた。

エントランスに入って来るゲストは、真っ先に中央のステージに目を奪われている。

「見て、綺麗!」

フラワーシャワーを見上げながら近くまで来ると、足元の光る花びらにも見とれている。

写真撮影するゲストの笑顔に、花穂も嬉しくなった。

「よさそうだな。よし、バンケットホールに戻るぞ」
「はい」

ゲストの楽しそうな様子に励まされ、花穂は気合いを入れてバンケットホールに向かった。
< 37 / 78 >

この作品をシェア

pagetop