気まぐれヒーロー
縄を解いたが最後、暴君ジローは赤・緑・金をあの世へ送ってしまうだろう。
それを彼らも、感じ取っているのかもしれない。
「ジローちゃん……タマちゃんのイヤがることばっかしてたら、ほんまに嫌われんで。なぁタマちゃん」
ケイジくんは少し大げさな口ぶりでジローさんに言って聞かせると、私に目配せをしてきた。
とりあえずこくんと、頷いておいた。
「なんでだよ、なんでタマが俺を嫌うんだ!そんなわけねえだろ」
するとジローさんは動揺しだして、それを見たケイジくんがにやりと口元に笑みを作る。
「なんでってなぁ……そんなん考えたらわかるやん。ウザイことされたら、誰だってそいつ鬱陶しい思うやろ?ええかジローちゃん。今ここにいんのは二代目タマちゃんなんやで?先代タマちゃんと違って、なついてくれるわけちゃうねんから。ヘタしたら一生嫌われるかもな~」
すっかり私が犬だという前提で話を進めていく、ケイジくん。
だけど彼にはジローさんの考え方を改めさせる狙いがあるようだったから、私は黙っていることにした。
「い、一生……!ケイジ、お前いい加減なこと言ってんじゃねえよ!」
どんどん殺気立っていくジローさんが珍しくて……なんだかちょっぴり、ワクワクするのはなぜ?
無感情・無関心・無感動三拍子揃ったジローさんのこんな姿って、滅多に見られるもんじゃないんじゃないだろうか。
「んじゃ本人に聞いてみよか?タマちゃん、さっきのジローちゃんどう思った?」
余裕とさえ思わせるにこやかな表情で意見を求めてくる、ケイジくん。
私は目をぱちくりさせながらも、ジローさんに文句を言ってやろうと決めた。