同期と私の、あと一歩の恋
「すみません。森藤さん、ちょっと酔っていて。彼女、思い込みが激しいところがあるんです」

肩をすくめながら申し訳なさそうに私を見た。

「前々から広瀬さんと本田さんが仲良く話しているのを見ていて、二人が付き合っているって勘違いしたみたいで」

苦笑いを浮かべた吉瀬さんは一度、間をおいてから話を続ける。

「だけど、周りの人に否定されて、広瀬さん本人にも同期だって言われたけど、どうも納得できなくて酔った勢いで言ってしまったと……」
「そうだったのね」

森藤さんは自分に正直な人なんだろう。
吉瀬さんの説明を聞き、頷いた。

「次からは絡まないように言ったので」
「大丈夫だよ。気を遣ってくれてありがとう」

私が笑顔で言えば、吉瀬さんは安堵したように微笑んだ。
それにしても、この話をした時に私たち三人しかいなかったのは不幸中の幸いだ。
もし、他の誰かに聞かれていたらと思うとゾッとする。

ふと、冷静になって考えてみたら彼女の言っていることは正論だと思う。

『言わないで後悔するより、言っちゃった方がスッキリしますよ』という森藤さんの言葉が、私の胸に重くのしかかる。
頭では理解しているけど、勇気が出ない自分がもどかしい。

傷つくことを恐れず、自分の気持ちを伝えた森藤さんを尊敬する。
振られても、彼女の表情から後悔の色は全くなかった。

< 15 / 43 >

この作品をシェア

pagetop