同期と私の、あと一歩の恋
「お疲れ様。本田くんも休憩?」
「ああ。まあ……。さっき、生産部の風間さんとすれ違ったけど一緒に居たのか?」

本田くんは廊下の方に目をやりながら尋ねる。

「うん。偶然会って話してたの」
「へぇ、どんな?」

探るように聞かれ、私はさっきの内容をかいつまんで話す。

「最初は仕事の話をしてたんだけど、今度みんなで飲みに行こうって話になったよ」
「広瀬ってさ、風間さんから飲みを誘われるぐらい仲が良かったっけ?」

そう言って少し眉間にシワを寄せる。

「特別仲がいいってわけじゃないけど、『触って楽しい動物園』の件ですごくお世話になったの」

私の企画を形にするために、いろいろアドバイスをくれた恩人でもある。
さっきも励ましてくれたし、仲がいいというより頼れる先輩といった感じだ。

「飲みに行こうって話も、また合同懇親会でもしようと思って誘ってくれたんじゃないのかな?」
「ふーん、そうか」

本田くんは少し目を細め、そっけなく答える。

「本田くんも一緒に行くよね?」
「――考えておく」

そう言って、本田くんは窓の方へ視線を向ける。
少しの沈黙が流れたあと、本田くんがぼそりと呟いた。

「広瀬って鈍感だよな」
「は? 鈍感ってどういうこと?」

意味が分からず聞き返すと、本田くんは肩をすくめる。

「なんでもないよ。じゃ、戻るか」

そう言って背を向ける。
私は首を傾げながら彼の後ろ姿を追い、二人並んで休憩スペースを後にした。


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