爛漫ろまんす!

赤蛇

南にある 火龍果(ほりゅうか)国と呼ばれる、常夏の国のとある酒場────
そこでは、国一番の盗賊集団・ 赤楝蛇(ヤマカガシ)の一味が噂話に花を咲かせていた。

「おい、白梨(はくり)国に伝説の美豚(ビトン)が現れたってウワサ本当かよ?」

「え、でも、それは皇帝が自ら処分したんじゃないのか?」

「ひぇ~~勿体ねーの。美豚(ビトン)を喰えば、願いが叶うってーのに…」

「まあ、俺等の様な盗賊には無縁の話だな……」

ゴクゴク────カタン!

「…美豚(ビトン)だ?」

酒を片手に…目付きの悪い"ヤマモモ"のような見た目のこの男は、 赤楝蛇(ヤマカガシ)の一味の一人、赤蛇(チージャ)という名の男だ。
耳には小さな輪っかの形をした耳飾りを沢山付けており、近寄り難い雰囲気を醸し出している。
そんな彼に臆せずに話せるのは 赤楝蛇(なかま)くらいであろう。

「お、赤蛇(チージャ)も興味あるか?」

仲間の一人が豪快に笑うと、赤蛇(チージャ)の隣に座っていたヨボヨボの老人が震える手で酒を呑み干した。

「アレじゃ………美豚(ビトン)は生きて……おるzzz……」

「「「「えぇぇぇ!?ホントですか(かしら)!!!」」」」

「……爺さん、起きろ」

赤蛇(チージャ)(かしら)と呼ばれた老人の鼻提灯を割ると、老人は「ハッ……」として我に返る。

「よし、お前達……漸くワシらの時が来たのじゃ……。美豚(ビトン)を手に入れ……あの《《変態僧徒》》達に仕返しをするのじゃ!!。ワシをこの様な老人の姿に変えた事を後悔させてくれる……zzz」

「うっひょー!!!、美豚(ビトン)が生きてるって事は……」

「一攫千金も夢じゃない!!!」

「女にもモテ放題!!」

「酒も飲み放題!!」

酒を片手に大はしゃぎをする 赤楝蛇(ヤマカガシ)の一味────一人を除いて……

(…《《ババア》》が護ろうとした餓鬼が、この世界に……)








グッギョグルゴオオオオオオオオオ

「お……お腹空いた……」

夜の麒麟宮に神美(かみ)の腹の虫が響き渡った────

(お風呂に入ってこいとは言われたけど……この空腹じゃ……湯船で気絶しそうだよ……)

重い足を引きずりながら湯浴み場に到着すると、先客が居たのか翡翠色の質素な衣が綺麗に畳んで置いてあった。

「この、衣の色……くんくん──そしてこの甘い香り………もしかして、黄龍(ファンロン)!!?」

神美(かみ)は服も脱がずに洗い場に突入する───

黄龍(ファンロン)!!元気になっ───」

ビュオォォ…………───

風で湯煙が晴れ──そこに居たのは、"胸を切り落とした"痕が残った身体を持つ女人……

「っ……!?──神美(かみ)……」

黄龍(ファンロン)………?」


《その犯人は、きっと自身も病にかかっていたのでしょう……》

青龍(チーロン)の言葉が脳裏を過った

黄龍(ファンロン)……貴方……」
< 17 / 22 >

この作品をシェア

pagetop