拝啓、元婚約者様 捨てた私のことはお構いなく
 かつてのように微力ながらでも、あなたの助けになれるのであれば、それはわたくしにとっても喜ばしいことです。ほかならぬあなたのお願いであれば、迷いはありません。
 できる範囲にはなりますが、喜んで協力させていただきます。

 まずは詳しくお話を聞かせていただきたく、お返事をお待ちしております。

フィーヌ・ロサイダー
 
 ーーーー
 

 手紙を読み終えたバナージは、にやっと笑う。

(予想通りだ。フィーヌは俺の頼みを断れない)

 ホークはすぐに返事を書いた。
 新たな金鉱脈を開発するならどこが適切か、フィーヌの神恵で土に聞いてほしいと。
 その返事も二週間ほどで届いた。

「西部のナルト山だと?」

 フィーヌからの手紙には、ダイナー公爵家の西部にあるナルト山を試掘するのがいいと書かれていた。更には、初期投資費用をロサイダー辺境伯家で負担することも記載されていた。見返りは、採掘量の10%をロサイダー辺境伯家に渡すことだ。
 
(採掘量の10%を? ふざけやがって)

 当然無償で協力してくれると思っていただけに、苛立ちを感じる。
 しかし、すぐにこれは悪い話ではないと思い直した。
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