少しチャラいけど器用なあなたが好きです
1)はじまり
はじまりはいつも突然やってくる。
社会人一年目のツバキは、10月の今日も仕事に追われていた。大学で3年間付き合っていた彼氏とはお互いの方向性のずれで先日別れたばかり。でも、彼女の心の中に彼はもうすっかりなくなっていた。
1人になりたい。特に社会人になってからは、ずっと、心からそう思っていたからだ。
ツバキは英語を話せるし、実は中国語も堪能。高身長で実家は太く、顔もそこそこ綺麗な方だと自負していた。
高学歴の頂点とも呼ばれる東西大学に入学し、就活では倍率100の大手商社への切符を手にした。言わば″勝ち組″だった。でも、周りがそうと言うだけで、彼女自身は、そんなこと全く気にしてなかった。
彼女には夢があった。将来住みたい街、やってみたい仕事、とりたい資格、果たしたい使命、、、、。
向上心が強い彼女は、そんな夢に挟まれ、もがきながら、それでも高みを目指そうとしていた。だから、1人になりたかった。
ある日、彼女は上司に頼まれパートナー企業へ簡単な書類を届けることになった。立て込む電話を受けながら、エントランスへ進む。彼女の淡麗な英語と、気高いハイヒールの音が室内に響き渡る。
吹き抜けの二階で腰掛けていた小路は、その音を聞いてふと1階へ目をやった。
その瞬間、時が止まるように静かに流れた。
彼はツバキの佇まい、所作、なんとも言えぬ部分に、直感的に惹かれた。彼の口角は上がり、そしてツバキから目を離さずには居られなかった。
社会人一年目のツバキは、10月の今日も仕事に追われていた。大学で3年間付き合っていた彼氏とはお互いの方向性のずれで先日別れたばかり。でも、彼女の心の中に彼はもうすっかりなくなっていた。
1人になりたい。特に社会人になってからは、ずっと、心からそう思っていたからだ。
ツバキは英語を話せるし、実は中国語も堪能。高身長で実家は太く、顔もそこそこ綺麗な方だと自負していた。
高学歴の頂点とも呼ばれる東西大学に入学し、就活では倍率100の大手商社への切符を手にした。言わば″勝ち組″だった。でも、周りがそうと言うだけで、彼女自身は、そんなこと全く気にしてなかった。
彼女には夢があった。将来住みたい街、やってみたい仕事、とりたい資格、果たしたい使命、、、、。
向上心が強い彼女は、そんな夢に挟まれ、もがきながら、それでも高みを目指そうとしていた。だから、1人になりたかった。
ある日、彼女は上司に頼まれパートナー企業へ簡単な書類を届けることになった。立て込む電話を受けながら、エントランスへ進む。彼女の淡麗な英語と、気高いハイヒールの音が室内に響き渡る。
吹き抜けの二階で腰掛けていた小路は、その音を聞いてふと1階へ目をやった。
その瞬間、時が止まるように静かに流れた。
彼はツバキの佇まい、所作、なんとも言えぬ部分に、直感的に惹かれた。彼の口角は上がり、そしてツバキから目を離さずには居られなかった。
