婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「久しぶりに雪が降ったからな。子どもたちと一緒に遊んだだけだ。それにエステルは雪を見たことがないらしい」
「はい」
頬を真っ赤にし、白い息を口から吐きながら、エステルは答えた。
「そうなのですね。雪は大変ですけども、これが春の恵みになるわけですから」
その意味がわからずエステルが首を傾げると、ギデオンが補足する。
「雪解け水だ。山に積もった雪が春になって解け、それを農業用水として使う。冬に十分な雪が降らなければ、水不足に陥り、農作物も育たない」
雪に触れたことのないエステルにとって、そのような考えはなかった。寒い地域には雪が降るものというそれだけの認識だった。
「だが、いくら生活のためとはいえ、毎回の雪かきには辟易してしまうがな」
ところで、とギデオンが話題を変え、子どもの親に詰め寄った。
「おまえたちは、エステルのことをどう聞いている?」
「お母さん、エステルさまは領主さまのお嫁さんじゃないんだって~」
子どもの一人がそう言えば「そうなんですか?」と驚いた声をあげたので、領民がエステルをどう思っていたのかは一目瞭然だった。
「はい」
頬を真っ赤にし、白い息を口から吐きながら、エステルは答えた。
「そうなのですね。雪は大変ですけども、これが春の恵みになるわけですから」
その意味がわからずエステルが首を傾げると、ギデオンが補足する。
「雪解け水だ。山に積もった雪が春になって解け、それを農業用水として使う。冬に十分な雪が降らなければ、水不足に陥り、農作物も育たない」
雪に触れたことのないエステルにとって、そのような考えはなかった。寒い地域には雪が降るものというそれだけの認識だった。
「だが、いくら生活のためとはいえ、毎回の雪かきには辟易してしまうがな」
ところで、とギデオンが話題を変え、子どもの親に詰め寄った。
「おまえたちは、エステルのことをどう聞いている?」
「お母さん、エステルさまは領主さまのお嫁さんじゃないんだって~」
子どもの一人がそう言えば「そうなんですか?」と驚いた声をあげたので、領民がエステルをどう思っていたのかは一目瞭然だった。