婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「エステル様。本日より王都からのお客様を受け入れることになりましたので、紹介したいと旦那様がおっしゃっております。急いで来ていただけますか?」
 そう言われても、エステルは今、作業着姿だ。お仕着せの上にさらにエプロンをつけている。
「えぇと……今、このような姿ですので。着替えに少々時間をいただきたいな、と」
「いえ。そのままで問題ないとのことです」
 ギデオンがいいと言うのであれば、問題ないのだろう。
 エステルはさっと手だけ洗って、ジェームスにつれられギデオンと客人の待つ応接室へと向かった。
「旦那様、エステル様をお連れしました」
「失礼します、エステルです。このような姿で申し訳ありません」
「気にするな。俺がいいと言った。そこに座れ」
 そこはギデオンの隣の一人がけのソファ。
「はい……失礼します」
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