歴代最強のオヒメサマ

【翔真side】

「───だから言ったんスよ」
「そう?アイツならこのくらいどうにでもできるでしょ?」


電話口でもゆるやかに笑う気配がして、ぐっと眉を顰める。


「嫉妬?男は複雑だよねぇ、翔真」


からかうような口調に思わず舌打ちをしたくなるが、なんとかとどめる。



「………そんなんじゃねえよ」


ぼそりと呟いた言葉に理人さんはくすくすと笑った。

今は弱体化だのなんだの騒がれているが、翡翠を見たらきっとそんなこと言えなくなる。




───アイツはどこにいても人を惹きつけるから。





街の喧騒の最中、智哉さんの運転する黒い車が止まる。



「───来た」


誰がともなく呟く。
< 98 / 160 >

この作品をシェア

pagetop