憧れの専務は私の恋人⁉︎
5.告白
電話を終えた専務は私の手を放した。
「ごめん。もう少し近くにいれば良かった。」
「ありがとうございました。」
私は専務に頭を下げた。なんだかまだドキドキしている。
「少し休憩しようか。あのお店はどう?」
専務が指差したのは、フルーツたっぷりのパフェが有名な喫茶店だ。私は驚いて喫茶店と専務の顔を見比べた。どう見たって専務のキャラに合わない。
「あそこですか?」
「甘い物は好きじゃない?」
「いえ……専務があのようなお店に入るところは想像がつかなくて。」
すると、専務は少し身をかがめて耳元で囁いた。
「実はパフェを食べたことがないんだ。だから、付き合ってくれない?」
「そうなんですか!?」
ちょっと大きな声が出てしまい、私は慌てて口を押さえた。
「内緒だよ。」
私はコクコクと頷いた。専務の家にはパフェは食べてはいけないという掟でもあるのだろうか。我が家にそんな掟がなくて良かった。
お店の中は、女性のお客さんばかり。スーツ姿の専務はちょっと浮いていた。
「えっと……どこに座れば良いの?」
「あそこの席にしましょう!」
専務はキョロキョロしながら私の後ろをついてくる。ここのお店は奈々美と何度も来ている。日当たりが良い窓際の席は、私のお気に入りの場所だ。席に着くと、私は早速メニューを開いて専務に見せた。
「フルーツ系が有名ですが、写真以上に山盛りで来ます。ですから、このいちごチョコか、チョコバナナから始めるのが良いと思います。こちらのスペシャルは大きめですので、サイズはミドルがいいですよ。」
「沢山あるんだね。早川さんはどれにする?」
「私ですか!?」
途端に顔が険しくなってしまう。専務の前では食べたくない。
(食べ方が汚いとか思われたくないし!)
それくらい夢中になるほど、ここのパフェは美味しいのだ。
「一緒に食べようよ。1人で食べるのは恥ずかしいんだけど。」
せっかくのパフェデビューを1人でやらせるわけにはいかない。それに、周囲のテーブルには次々と美味しそうなパフェが運ばれてくる。
「いちごチョコにします……」
「俺もそれ。」
(静かに……そして丁寧に食べよう……)
注文を終えて静かに決意を固めていると、専務はソワソワし始めた。
「なんかドキドキしてきた。」
「本当に食べたことがないんですか?」
「うん。早川さんが一緒で良かったよ。1人で食べる勇気はないからね。」
確かにホテルのレストランで一緒に食事する人はたくさん居そうだけれど、一緒にパフェを食べる相手というのは、中々いないかもしれない。
「来たっ!」
ちょっとだけ優越感に浸っていると、子供のような声が聞こえた。テーブルの上に並んだいちごチョコのパフェを見て、専務は目を輝かせている。
「早く食べよう?」
「はい!」
ここのパフェはとんでもなく美味しい。しかも、体力を消耗しているから、甘さが体に染みる。チラリと視線を上げると、専務は嬉しそうにパフェを口に運んでいた。
(かわいい……ってそんなこと思っちゃだめ!)
私は粗相のないよう慎重にパフェを食べた。
「早川さんは、ここ来たことあるの?」
「奈々美……あ、友人とよく来てるんです。」
「そうなんだ。彼氏とは?」
「そういう人はいません。専務、そういうこと聞くのもセクハラですよ?」
「ごめんごめん。良かった。彼氏いないんだね。」
「ですから……」
「このあと、この前の居酒屋へ行きたいんだけど、一緒に来てくれない?親父さんに謝らないといけないから。」
「良いですけど、寝ないでくださいね?」
「大丈夫だよ。今日は寝ない。」
私は終始気を張ってパフェを食べ終えた。
「おいしかった〜!次はフルーツのやつにしようかな。また一緒に行こうね?」
「またですか!?」
「1人じゃ無理だよ。早川さんがいないと入れない。」
次の約束をされたようで、なんだかむずむずする。喫茶店を出ると、空は夕焼け色に染まっていた。
「ごめん。もう少し近くにいれば良かった。」
「ありがとうございました。」
私は専務に頭を下げた。なんだかまだドキドキしている。
「少し休憩しようか。あのお店はどう?」
専務が指差したのは、フルーツたっぷりのパフェが有名な喫茶店だ。私は驚いて喫茶店と専務の顔を見比べた。どう見たって専務のキャラに合わない。
「あそこですか?」
「甘い物は好きじゃない?」
「いえ……専務があのようなお店に入るところは想像がつかなくて。」
すると、専務は少し身をかがめて耳元で囁いた。
「実はパフェを食べたことがないんだ。だから、付き合ってくれない?」
「そうなんですか!?」
ちょっと大きな声が出てしまい、私は慌てて口を押さえた。
「内緒だよ。」
私はコクコクと頷いた。専務の家にはパフェは食べてはいけないという掟でもあるのだろうか。我が家にそんな掟がなくて良かった。
お店の中は、女性のお客さんばかり。スーツ姿の専務はちょっと浮いていた。
「えっと……どこに座れば良いの?」
「あそこの席にしましょう!」
専務はキョロキョロしながら私の後ろをついてくる。ここのお店は奈々美と何度も来ている。日当たりが良い窓際の席は、私のお気に入りの場所だ。席に着くと、私は早速メニューを開いて専務に見せた。
「フルーツ系が有名ですが、写真以上に山盛りで来ます。ですから、このいちごチョコか、チョコバナナから始めるのが良いと思います。こちらのスペシャルは大きめですので、サイズはミドルがいいですよ。」
「沢山あるんだね。早川さんはどれにする?」
「私ですか!?」
途端に顔が険しくなってしまう。専務の前では食べたくない。
(食べ方が汚いとか思われたくないし!)
それくらい夢中になるほど、ここのパフェは美味しいのだ。
「一緒に食べようよ。1人で食べるのは恥ずかしいんだけど。」
せっかくのパフェデビューを1人でやらせるわけにはいかない。それに、周囲のテーブルには次々と美味しそうなパフェが運ばれてくる。
「いちごチョコにします……」
「俺もそれ。」
(静かに……そして丁寧に食べよう……)
注文を終えて静かに決意を固めていると、専務はソワソワし始めた。
「なんかドキドキしてきた。」
「本当に食べたことがないんですか?」
「うん。早川さんが一緒で良かったよ。1人で食べる勇気はないからね。」
確かにホテルのレストランで一緒に食事する人はたくさん居そうだけれど、一緒にパフェを食べる相手というのは、中々いないかもしれない。
「来たっ!」
ちょっとだけ優越感に浸っていると、子供のような声が聞こえた。テーブルの上に並んだいちごチョコのパフェを見て、専務は目を輝かせている。
「早く食べよう?」
「はい!」
ここのパフェはとんでもなく美味しい。しかも、体力を消耗しているから、甘さが体に染みる。チラリと視線を上げると、専務は嬉しそうにパフェを口に運んでいた。
(かわいい……ってそんなこと思っちゃだめ!)
私は粗相のないよう慎重にパフェを食べた。
「早川さんは、ここ来たことあるの?」
「奈々美……あ、友人とよく来てるんです。」
「そうなんだ。彼氏とは?」
「そういう人はいません。専務、そういうこと聞くのもセクハラですよ?」
「ごめんごめん。良かった。彼氏いないんだね。」
「ですから……」
「このあと、この前の居酒屋へ行きたいんだけど、一緒に来てくれない?親父さんに謝らないといけないから。」
「良いですけど、寝ないでくださいね?」
「大丈夫だよ。今日は寝ない。」
私は終始気を張ってパフェを食べ終えた。
「おいしかった〜!次はフルーツのやつにしようかな。また一緒に行こうね?」
「またですか!?」
「1人じゃ無理だよ。早川さんがいないと入れない。」
次の約束をされたようで、なんだかむずむずする。喫茶店を出ると、空は夕焼け色に染まっていた。