叶わぬロマンティックに終止符を


 遠距離に耐えられる自信がなくなった。アメリカにいる間、こういう状況が常に起こりうる。そのとき近くにいられない。叶南が他の男に目移りしたらどうしよう、だなんて女々しく考えてしまう未来が想像できた。


 ただの俺の弱さだ。君に渡すために外した第二ボタンは、行き場を失った。想いを伝えなければ、そんな嫉妬も独占欲も、抱かずに済む。


 裏庭、沈みゆくオレンジが反射した。知らない誰かへの返事も聞かずに、無造作に伸びゆく雑草を踏みつけながら踵を返した。



 《柊、待ってるから》



 叶南から送られたメッセージは、それが最後だった。



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