黒百合の女帝
 実はあの時、密かに会話を記録していたのだ。

動画は撮れなかったが、判断材料としては十分。

彼女も不満はないようで、俺に指示を下す。

 『そう。取り敢えず、ラクアと私の存在は隠しておいて。』

 「わかりました。次はいつ呼べば?」

 『後で指示を出すよ。まずは音声聴くから。』

 「わかりました。それじゃあまた」

そこで電話を切り、彼女の言葉を思い返す。

ユリさんとラクアの存在は隠しておく……?

ユリさんは秘匿性が高いから、で納得できる。

ただ、なぜラクアまでもが?

彼とは二度合ったが、感じの悪い奴だった。

でもユリさんに懐いていたし、裏で動くのか?

考えても無駄か、と諦め、ハラの方を向く。

彼はソファに移動し、ゲーム機で遊んでいた。

 「なあ、あいつらどこで捕まえたんだ?」

 「うーんとね〜、街中ぶらぶらしてたら声かけられた。この前の人ですよね〜、って」

 「なんで倉庫に連れて来たんだよ」

怒り気味に問えば、彼は不満の声を上げる。

 「だってカヤさんに会わなきゃって思ったから」

 「俺を呼び出せばいいだろ」

 「カヤさんメール読まないじゃん」

そう言われ、ぐうの音も出なくなる。

確かに、普段からメールは確認しない。

それにあの時は寝てたし、気付けなかっただろう。

自分にも非があったし、おあいこにするか。

 「まあ、次からは俺たち四人以外は連れてくんなよ」

 「へーい。おっ、よっしゃアイテムゲット〜」

 「ちょっとは話聞けよ」
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