黒百合の女帝
 という問いから、またもや目を背ける。

それは、まだユリの隣に居たいという私欲から。

彼女の為を思うなら、俺なんか消えた方が良い。

そう知りながらも、理性に反し口は動く。

 「違う……俺は、総長として訊いてるだけで……!ユリを否定はしていない!」

口を衝いて出たのは、そんな正当化。

全て、彼女を引き留めるための。

まだ信じていて欲しいから。信じたいから。

いや、そんなのはただの……

 「言い訳にしか、聞こえないよ……。」

ああ、そうだよな。自分でもつくづく思うよ。

本当は、自分を最低な男と思いたくないから。

きっとそんな、ありふれた欲が言葉に出たんだ。

罪悪感から、床の木目ばかりを眺める俺。

情けない。皆が俺を見ているのに。

いつもの完璧な総長を、演じなければならない。

ユリからも、仲間からも失望されたくない。

だから、演じなきゃいけないのに……

このままじゃ、俺は見限られてしま

 「もういいよ、ユウヒ。」

突如、冷たい声が鼓膜を振動させた。

そして……

 「私……嶺春から脱退する。」

脳内を真っ白に、心に空虚にさせた。

 「……は?」

自分の肩書きすら忘れ、間抜けな声が出る。

どうして。なんで。

そうか、俺のせいか。

そんな自問自答の後は、何も聞こえて来なかった。

ただ虚空を眺めて、絶望を反芻して。

そうしていたら、いつの間にかユリは消えていた。

次の日も、その次の日も。

ユリは、この倉庫には帰って来なかった。
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