黒百合の女帝
執着の利用
 その一週間後。フードコートの端っこ。

ポテトをかじりながら、周囲を見回す。

ユリちゃんが昨日、迎えをよこすって連絡をくれたけど……

約束の午後8時から、既に20分は過ぎていた。

もしかしたら来ないのかも……て。

 「えっ……トシアキくん!?」

視界に入った旧友に、思わず立ち上がる。

すると彼も気づいたようで、手を振ってくれた。

そして僕の側まで来て、にこりと笑ってみせる。

 「ヤユくん見っけ〜。やほやほ」

そう言ってポテトをつまみ食いする姿は、昔のままだった。


 このオシャレイケメンさんはトシアキくん。

元嶺春所属で、僕が特に可愛がっていた後輩。

次期幹部とも言われ、嶺春でも有数の実力者。

彼とはオシャレ好き同士、とても仲がよかった。

ユリちゃんが来て、すぐに辞めちゃったけど。

 「あれ?もしかして、トシアキくんなの?迎えって」

 「そうそう。てなわけで、俺がヤユくんを案内しまーす」

そう言うと、彼はむりやり僕を立たせてくる。

そして僕の手を掴み、早足で歩き出した。

頑張って歩調を合わせるけど、頭は全然追いつけていない。
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