黒百合の女帝
 しばらく呆気にとられ、動けなくなる。

が、扉越しからの騒ぎ声で、我に返った。

そうだ。今、彼女にかけるべき言葉は。

 「そうだよね。じゃあ、あの時言えなかったけど……僕は、ユリちゃんを信じたい」

ありのままの気持ちを、そのまま伝える。

言っていた気になっていて、言っていなかった言葉。

それを聞いたユリちゃんは顔を上げ、僕を見つめた。

恥ずかしいが、僕も一生懸命に見つめ返す。

そのまま互いに見つめ合い、数秒後。

彼女はゆっくりと手を離し、吐息を漏らした。

 「ようやっと、言って貰えた。」

そう呟く彼女に、思わず息を飲む。

だって、すごく嬉しかったから。

彼女がついに、二ヶ月ぶりの笑顔を見せてくれたことが。
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