黒百合の女帝
海月の耽溺
 「お待たせ!ごめんね、遅れちゃって。」

梅田蔵センタービルの一階、休憩スペースにて。

午後五時を過ぎた辺りで、ユリが駆けて来る。

彼女の服は、制服から白のマーメイドワンピになっていた。

大人びたその服装は、彼女に大変似合っている。

申し訳なさそうに謝る彼女に、思わず頬が緩むのがわかった。

こんなことで機嫌が直る俺は、結構単純だった。

 「気にしてない。それから服、似合ってる」

 「えっ、本当?初めて着た服だから嬉しい。」

そう無垢に笑う彼女には、彼氏が別に居る。

頭では理解していても、喜ばずにはいられない。

彼女は俺の為に、一度帰って支度をしてくれた。

その優しさが、俺を彼女の元に縛り付ける。

ユリへの執着を自覚しながら、その隣を歩いた。

 「実はね、もう行き先は決めてあるんだ。」

 「場所は?」

そう問えば彼女は目一杯の笑みを浮かべ。

 「このビルに入ってある___プラネタリウム!」

と元気よく叫んだ。
< 205 / 605 >

この作品をシェア

pagetop