癒やしの小児科医と秘密の契約
感極まった私はガバッと立ち上がると、ソファに座っている俊介さんのことを思い切り抱きしめた。

「私はずっとずっと、ずーっと前から俊介さんのことが好きでした。だから……、気持ちが通じたことがすごく嬉しいです」

「心和――」

困惑した俊介さんの、くぐもった声。
それもそのはず、私は俊介さんの顔を自分の胸に押しつけるようにぎゅうっと抱きしめているのだから。

「わざとやってます」

「……ものすごく幸せ感じてるけど、いいの?」

「いいです」

以前桜子さんが『彼氏との仲直り方法』を紹介してくれた、『彼氏の顔に自分の胸を押しつけてあげる』という、あの技だ。別にケンカをしていたわけじゃないけれど、感極まると勝手に体が動くらしい。実はこれをするのは二回目なのだけど。

「明日も仕事だけど……」

「はい」

「心和、瘤があるけど……」

「そうですね」

「イチャイチャしたい」

「私も、そう思っていまし――ほわあっ!」

急に浮き上がる感覚にびっくりして、俊介さんにしがみつく。ぽすんと座らされたのは俊介さんの膝の上。

絡まる視線が何となく恥ずかしくて目を逸らそうとしたのに、「心和、可愛い」と言われて目が離せなくなった。嬉しいのにどんな顔をしていいのかわからない。

「あははっ、困ってる」

「だって、俊介さんがかっこよすぎるのがいけないんですぅ。もー、大好き。死ぬほど好き」

「うん、俺もだよ」

再び影が落ちる。
甘くて蕩けるようなキスは、私の体も心も簡単に虜にさせる。抱き合いながら徐々に体がソファに沈み込んでいく感覚は、まさに愛に溺れていると言っても過言ではない。そんなことをぼんやりと思う。

胸いっぱいに幸せを感じながら、甘い吐息が部屋中に広がった――。


【END】
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