好き、なんです。
幼き日の記憶。
ママに読んでもらっていた絵本には大抵王子様とお姫様が出てきていた。
二人が運命的な出逢いをし、結ばれるまでには決まって困難が立ちはだかる。
どうなるんだろう、と息を呑み、
良かったね、と最後に安堵する。
幸せな気持ちになる。
そして私はママに聞くんだ。
「わたしもお姫様になれる?」
「うん、なれるよ。必ずなれる。でもね、それには条件があるの」
ママがわたしの頭を優しく撫でてくれる。
その手の温もりはいつまで経っても忘れることはない。
わたしがママの瞳をじーっと見つめるとママも見つめ返してくれる。
ママの唇がゆっくりと動き出す。
「和音」
「ん?」
「たった一人でいい。その人のことを大事にして、想って、同じ時間を過ごして、たくさん心を傾けてあげて。和音が向けた心はきっと相手に届くから。幸せにしてあげたいって思って、愛して…そうしたら返してもらえるから。たとえ返してもらえないことがあっても諦めずに思い続けて。好きって気持ちを持ち続けること、伝え続けること、一緒に幸せになりたいって思い続けること。それがお姫様になるのに必要な条件、かな」
ママは笑う。
ママの笑顔がわたしは…大好き。
心がぽかぽかしてくるから。
そんなことを話していると、ガチャと玄関のドアが開く音がした。
パパが帰ってきた合図だ。
「ふふ。ママの王子様が帰ってきた」
ママは私を抱っこしながら玄関へと向かって行く。
抱えられながらママを見つめ続けて。
ママはずっとニコニコしてる。
本当に幸せそう。
パパのことが本当に大好きなんだなって伝わってくる。
そんな風景が今でも脳裏に焼き付いてる。
パパとママからもらってきた愛をわたしは誰に渡したいかな?
誰とこのぽかぽかを共有したいかな?
そんなことを考えながらわたしは成長して、
気づけば15歳。
今日遂に高等部の入学式を迎える。
・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
これはずっと夢みがちなわたしが
お姫様になるまでのお話。
・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
ママに読んでもらっていた絵本には大抵王子様とお姫様が出てきていた。
二人が運命的な出逢いをし、結ばれるまでには決まって困難が立ちはだかる。
どうなるんだろう、と息を呑み、
良かったね、と最後に安堵する。
幸せな気持ちになる。
そして私はママに聞くんだ。
「わたしもお姫様になれる?」
「うん、なれるよ。必ずなれる。でもね、それには条件があるの」
ママがわたしの頭を優しく撫でてくれる。
その手の温もりはいつまで経っても忘れることはない。
わたしがママの瞳をじーっと見つめるとママも見つめ返してくれる。
ママの唇がゆっくりと動き出す。
「和音」
「ん?」
「たった一人でいい。その人のことを大事にして、想って、同じ時間を過ごして、たくさん心を傾けてあげて。和音が向けた心はきっと相手に届くから。幸せにしてあげたいって思って、愛して…そうしたら返してもらえるから。たとえ返してもらえないことがあっても諦めずに思い続けて。好きって気持ちを持ち続けること、伝え続けること、一緒に幸せになりたいって思い続けること。それがお姫様になるのに必要な条件、かな」
ママは笑う。
ママの笑顔がわたしは…大好き。
心がぽかぽかしてくるから。
そんなことを話していると、ガチャと玄関のドアが開く音がした。
パパが帰ってきた合図だ。
「ふふ。ママの王子様が帰ってきた」
ママは私を抱っこしながら玄関へと向かって行く。
抱えられながらママを見つめ続けて。
ママはずっとニコニコしてる。
本当に幸せそう。
パパのことが本当に大好きなんだなって伝わってくる。
そんな風景が今でも脳裏に焼き付いてる。
パパとママからもらってきた愛をわたしは誰に渡したいかな?
誰とこのぽかぽかを共有したいかな?
そんなことを考えながらわたしは成長して、
気づけば15歳。
今日遂に高等部の入学式を迎える。
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これはずっと夢みがちなわたしが
お姫様になるまでのお話。
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