【改稿版】溺愛彼氏  失恋したらチャラ男が一途な本性を現しました
 片桐の匂いがするタオルを頬に寄せ、なんだか落ち着かないようで落ち着く。

「俺はミユに傷付けられた覚えは無ぇし、謝らなくていいよ。ひょっとして青山に謝って来いとか言われたとか?」

 傷付いていないと言い、こちらを見ようとしない。声音も何処か強張って低め。片桐って意外と顔や声に感情がでるんだったて最近知った。煙に巻く喋り方でごまかしているだけ。

「言われてない」

「なら、なんで? 青山に告られたんでしょ? やり直そうと言われたんじゃない?」

 青山君とのやりとりを見ていたかのような物言いをする。

「青山君の気持ち、知ってたの?」

「はっ、知ってたなら早く教えて欲しかったか? そうすれば悩む時間が少なくて済んだ?」

 片桐は眉間を揉み、かぶりを振る。わたしを責める言葉を落とすみたいに。

「ち、違う! わたしはもうーー」

「んな事、出来ねぇ!」

 しずくを散らして振り向き、揺れる瞳を突き付けてきた。あぁ、片桐は迷っている、直感する。
 わたしも彼も友情の天秤がぐらついて、秤へ雨が降り注ぐ。
 ころり、手元の缶が滑り落ち、転がって片桐のスニーカーにぶつかった。

「俺だってミユが好きなんだ! 青山と付き合うお膳立てなんて本当はやりたくない! でもミユが幸せならいいと我慢してた!」

「……まだ、わたしを好きなの?」

「あぁ、好きだよ! 悪いかよ! 全然諦められねぇ上に、どんどん好きになっちまう! ずっとミユに片思いしてる!」

 噛み付くような告白に気持ちが溢れてくる。

「ーーっ」

「わ、うわ! 泣くなよ! 俺にこんな風に想われるのはキモいよな? 分かってる、分かってる」

 わたしの泣き顔に片桐はフォローを始めた。カフェオレを拾おうとした指先が後悔で震えているのをみ、彼へ抱きつく。
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