100日後、クラスの王子に告白されるらしい

9月25日、木曜日

 今日の体育はバスケだった。

 運動は苦手だ。マラソンとか一人で黙々と走るのは嫌いじゃないけど、球技はほんと無理。

 チームのお荷物でしかない自覚がある。

 ていうか、バスケとかサッカーとかソフトボールってさ、なんでルール説明ないの?

 知ってて当たり前みたいにいきなり始まるから、何すればいいか全然わかんないし、ほんと無理。


「あー、疲れた」


「おつかれ、莉子ち体育苦手だよね」


「無理。何させられてるか分かんないんだもん」


「あはは、バスケ、細かいルールわかんないよね。とりあえずゴールにボール投げ込めばいいんだよね? みたいな」


「それね」


 男子もバスケで、まだ試合が終わらないみたい。

 女子からの歓声がすごい。


「柊ー! 見ててくれた!?」


 歓声の真ん中から、一ノ瀬が手を振っている。


「私も今まで試合してたから見てない」


「柊、ゴール外しててかわいかったよ」


「うざ……」


 さっさと体育館を出ると、男子の方も終わって、一ノ瀬が追いかけてきた。


「次もバスケだからさ、俺の活躍見ててよ」


「別に私が見てなくても歓声すごかったじゃん」


「柊に見てほしいんだよ。75日後も、その先も」


 意味わかんない。

 イラついて、早足で教室に戻る。
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