100日後、クラスの王子に告白されるらしい

10月06日、月曜日

「めちゃくちゃ良かった……」

「ね……、俺、ちょっと泣いたわ……」


 昼にファミレスで文化祭のクラス打ち上げがあった。
 そのあと一ノ瀬と映画を観たんだけど、思ってたより面白かった。


「ちょ、パンフ買ってくる」

「うん。私もグッズ見てくる」

「俺も見る!」


 ノートとかハンカチとか、アクスタもいろいろある。
 アクキーにして、学校のカバンにぶら下げようかなあ。


「柊、これオソロがいいな」

「えー……、かわいいけどさあ」


 一ノ瀬が指さしたのは、映画のマスコットキャラのアクキー。たしかにめっちゃかわいいけど……一ノ瀬とおそろはさすがに恥ずかしい。


「イロチとか、ポーズ違いとかもあるよ」

「う、全部かわいい……」

「俺、これ買ってくる。んで、柊にあげる。柊も俺に選んで。同じにしてもいいし、違うのでもいいから」


 そう言って一ノ瀬はレジに行ってしまった。
 どうしよう。
 さんざん悩んで、やたらキザな決めポーズのアクキーにした。
 会計をして、一ノ瀬に渡す。


「これ、一ノ瀬そっくりだから」

「ありがと。これ、柊に」


 そんなにうれしそうな顔、しないでよ。
 胸がソワソワする。


「メック行こうぜ。パンフ見ながら感想言いたい。あ、あと64日な」

「……う、うん」


 受け取ったアクキーを両手で握りしめた。
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