100日後、クラスの王子に告白されるらしい

10月28日、火曜日

 今日も一ノ瀬は来なかった。

 昼頃にニャインが飛んできて、


『あと42日。熱は下がったけど、咳が止まらない。明日には行けると思う。柊の声、聞きたいな』


 なんて書いてあった。


「喉痛いなら電話はしないよ。代わりに、結と双葉くんが一緒にゲームしてる写真送るね」

『いらねえけど!? 柊の写真くれよ』

「えー……」


 結局、結が撮ってくれた写真を送ったら、


『明日は絶対に行くから』


 と返ってきた。


 放課後、部活に向かう途中で呼び止められた。


「柊ちゃん、今から部活?」

「う、うん。えっとメイサちゃんも?」

「そだよ~。昨日さ、颯が柊ちゃんに会いたいって大騒ぎしてた」

「あ、そうなんだ……」


 それは、メイサちゃんが一ノ瀬と会ってたってこと?

 それとも、一ノ瀬はメイサちゃんにも連絡してたの?

 聞きたいけど、知りたくない。


「柊ちゃんにもらったってぬいぐるみもずっと抱えてるしさ。かわいいとこあるよね」

「……そうなんだね……」


 一ノ瀬、メイサちゃんにそんなことまで話してるんだ。

 ……胸が苦しくて、うまく息ができない。


「明日にはきっと来るから、そしたらまた構ってあげて。きっと颯は喜ぶから。じゃあ、またね」


 メイサちゃんは笑顔で運動部の部室棟に向かっていく。

 私は足が重たくて、その場でしばらく動けずにいた。
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