100日後、クラスの王子に告白されるらしい

9月8日、月曜日

「柊、おはよ!!」


「うるさ……朝からテンション高すぎ」


 朝、校庭の隅で植わってる花の数を確認していたら、一ノ瀬が駆け寄ってきた。

 隣にいた先輩が、ビクッと肩を揺らした。

 わかりますよ。陰キャは、突然陽キャに話しかけられるとびっくりするんですよね。


「あと92日! 柊、何してんの?」


「そろそろ秋冬向けに花を植え替えるから、今植えてあるやつの数と種類確認してる」


「へー、俺、花のこととか全然わかんないけど、柊が花の世話してるの見るの好きだから楽しみ」


「なにそれ」


「……莉子ちゃん、この人、かれ……」


「違います」


 おずおずと聞いてくる先輩に、ついきっぱり言ってしまった。

 それは、ない。


「あ、そう見えます? 今、彼氏目指して猛アピール中なんです」


「そうなんだ? ふふっ、莉子ちゃん、モテるんだ〜」

「ほんと、全然そんなんじゃないんで……。サッカー部、まだやってるんでしょ? 戻んなよ」


「はいはい。あ、昨日勝ったんだよ。ご褒美にキスしていい?」


「いいわけあるか!」



 一ノ瀬は、「また教室で」と走って行った。

 ……なんなんだあいつは。

 先輩はニヤニヤしないでほしい。


 ほんと、なんでもないから!
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