大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。
第24話 見えない距離感
昼下がりのオフィス。
嵩はパソコン画面を見つめながらも、頭の中は仕事以外のことでいっぱいだった。
(……朱里、今朝のあれ、やっぱり気にしてるよな)
彼女の「大嫌い!」は、いつもの強がりなのか、本気なのか。わからなくなる瞬間が増えていた。
それでも朝の失言のあと、朱里がわざと自分を避けているように見えてしまう。
「平田先輩」
不意に背後から呼びかけられて振り返ると、瑠奈が笑顔で立っていた。
「昨日のセミナー、お疲れさまでした。先輩の話、やっぱりすごくわかりやすかったです」
屈託のない褒め言葉に、嵩は思わず苦笑した。
「いや、大したことないよ。むしろ望月さんが盛り上げてくれたおかげだ」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいです」
瑠奈の笑顔は真っ直ぐで、彼を疑いなく慕っているのが伝わる。
……なのに、朱里は。
どうしてあんなふうに突き放すのか。
(もしかして、本当に俺のこと嫌いなのか?)
胸の奥に、言いようのない重さが広がっていく。
ふと視線を向けると、デスクに戻った朱里が無理に仕事へ集中しているのが見えた。
その横顔は、いつもより少し硬い。
声をかけたい。
でも、何を言えばいいのかわからない。
そんな彼の迷いを知らないまま、オフィスの空気だけが淡々と流れていった。
嵩はパソコン画面を見つめながらも、頭の中は仕事以外のことでいっぱいだった。
(……朱里、今朝のあれ、やっぱり気にしてるよな)
彼女の「大嫌い!」は、いつもの強がりなのか、本気なのか。わからなくなる瞬間が増えていた。
それでも朝の失言のあと、朱里がわざと自分を避けているように見えてしまう。
「平田先輩」
不意に背後から呼びかけられて振り返ると、瑠奈が笑顔で立っていた。
「昨日のセミナー、お疲れさまでした。先輩の話、やっぱりすごくわかりやすかったです」
屈託のない褒め言葉に、嵩は思わず苦笑した。
「いや、大したことないよ。むしろ望月さんが盛り上げてくれたおかげだ」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいです」
瑠奈の笑顔は真っ直ぐで、彼を疑いなく慕っているのが伝わる。
……なのに、朱里は。
どうしてあんなふうに突き放すのか。
(もしかして、本当に俺のこと嫌いなのか?)
胸の奥に、言いようのない重さが広がっていく。
ふと視線を向けると、デスクに戻った朱里が無理に仕事へ集中しているのが見えた。
その横顔は、いつもより少し硬い。
声をかけたい。
でも、何を言えばいいのかわからない。
そんな彼の迷いを知らないまま、オフィスの空気だけが淡々と流れていった。