本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 「ああ。どうも山城が怪しいから行ってほしいとね。自分よりも俺のほうがうまくまとめられるだろうからと」
 「航希がそんなこと言うなんて……」


 心の中では認めていると知っていたが、ライバル視していた青葉に助けを求めるとは想像もしない。航希が機転を働かせてくれたおかげで、莉乃は事なきを得た。

 (もしも青葉さんがあの場に現れなかったら……と思うと)

 ゾゾゾと全身に悪寒が走り、思わず自分を掻き抱く。


 「大丈夫か?」
 「……ええ。青葉さんが来てくれたから。うれしかった」


 その言葉には心からの安堵と感謝が込められ、ほのかに甘い感情が滲む。

 青葉の姿があの瞬間、まるでヒーローのように現れた場面が脳裏に蘇る。緊迫した空気の中で彼が踏み込んできたとき、莉乃の心を覆っていた恐怖や不安が一気に溶けだしたのだ。
 今こうして安全な場所で青葉を前にするとそれらは遠のき、代わりに胸の奥で静かな高揚感が広がっている。彼の落ち着いた眼差しや、そばにいるだけで感じる安心感とはべつの感情に心が乱れる。

 (もしかして私、青葉さんを……)
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