本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
〝三度の失恋〟以降、プロポーズ大作戦は停滞している。失意の中、出店絡みの仕事が本格的に忙しくなり、それどころではなくなったためだ。
父との約束の期限まで、あと十カ月余り。悠長なことはしていられないが、ルナリアも大事な局面を迎えている。ここが正念場だ。
天井まで届くリビングの大きな窓辺で立ったまま紅茶を飲み干したそのとき、テーブルに置いていたスマートフォンがヴヴヴと空気を振動させた。
手に取ると、画面に青葉の名前が表示されている。仕事の電話だろう。
ダークグレーのソファに深く腰を掛けると、やわらかなクッションが体を包み込んだ。
指先でスワイプし、通話を繋ぐ。
「寺西です」
『夏目です。夜分にすまない』
「いえ、なにかありましたか?」
『市場の状況が変わった」
青葉の声は落ち着いていたが、どこか慎重な響きを持っていた。
莉乃はソファに深く腰を掛け、スマートフォンをしっかり耳にあてる。
「変わった? どの部分?」
何度か打ち合わせを重ねていくうちに、近頃は敬語とフランクな言葉遣いが混じるようになっている。
父との約束の期限まで、あと十カ月余り。悠長なことはしていられないが、ルナリアも大事な局面を迎えている。ここが正念場だ。
天井まで届くリビングの大きな窓辺で立ったまま紅茶を飲み干したそのとき、テーブルに置いていたスマートフォンがヴヴヴと空気を振動させた。
手に取ると、画面に青葉の名前が表示されている。仕事の電話だろう。
ダークグレーのソファに深く腰を掛けると、やわらかなクッションが体を包み込んだ。
指先でスワイプし、通話を繋ぐ。
「寺西です」
『夏目です。夜分にすまない』
「いえ、なにかありましたか?」
『市場の状況が変わった」
青葉の声は落ち着いていたが、どこか慎重な響きを持っていた。
莉乃はソファに深く腰を掛け、スマートフォンをしっかり耳にあてる。
「変わった? どの部分?」
何度か打ち合わせを重ねていくうちに、近頃は敬語とフランクな言葉遣いが混じるようになっている。