7日間の恋
『僕がたまたま莉巳ちゃんの病室に行ったら結衣ちゃんがいて。
で、聞く気はなかったんだけど…
莉巳ちゃんの話、聞こえたんだ。
僕、莉巳ちゃんがあんなに悲しそうな顔してる理由知らなくて。
いつか話してくれる、って信じてたから。
で、たまたま聞こえた話。
我慢しきれなくなって飛び出した。
ああいうときはね、言葉は本当はいらない。
キミのそばには僕がいる、
そう教えてあげることが1番いいんだ。
よく頑張ったね、って。
よく耐えたね、って。
そう言ってあげることが何より安心することができるんだ。』
「稲葉さんはいったい、何者ですか…」
無意識のうちに言葉が出ていた。
稲葉さんはケラケラと声を上げて大笑い。
『何者って…結衣ちゃん相変わらずおもしろいね』
ひとしきり笑った稲葉さんは言う。
『実は僕、カウンセラーの資格持ってるんだよね。
何者?って質問の答えになったかな?』
辞書で調べれば
『個人の各種の悩みや心理的問題について相談に応じ、
解決のための援助・助言をする専門家。』
と、出ているだろう。
なんだ。
そうだったのね。
稲葉さんは、カウンセラーだったのか。
なら納得だよ。
今までの全てのことに納得できる。
なんか…力、抜けちゃったな。