専属ボディガードへの片思いを諦めたら、甘すぎる豹変が待っていました
またすぐに、
4回目の悟さんとの食事会が行われた。
「そろそろキューピットも終わりにしないとなって思って。
俺とのお見合いを終わりにするとしても、あまり食事会が長引くと周りの印象も良くないかもしれないから」
ー悟さんは本当によく考えてくれている。
でも、このままキューピットを終わりにされて、橘と上手くいくのだろうか。
心配そうな顔をしていたのだろう。
「心配しないで、それにもし上手く行かなかったら、お見合い続けるのも、本当にアリだなって思っているよ」とウィンクされながら言われた。
本心なのかどうかはわからなかったが、
悟さんのおちゃらけた様子をみて、
少し気持ちが落ち着いた。
「じゃあ、ちょっと揺さぶりをかけてみるね」
悟さんがそう言ったと思ったら、
橘を呼んで私たちのテーブルまで連れてきた。
「どうかしましたか?」
「君さ、ずっと百合子さんのボディガードだったんでしょ?
俺結構嫉妬深いから、
もしこのままお見合い続けて結婚したら、百合子さんのボディガードを辞めてもらうことになるけど大丈夫?」
ー悟さんには言っていなかったが、
元々橘と私の中でそのような話になっている。
だから、きっと「大丈夫です」と即答すると思ったが、橘は何も言わなかった。
「まあ俺たちの結婚式くらいは呼んであげるよ」
悟さんが微笑みながら言ったが、
橘は無表情…いや何かに耐えているような表情に見えた。
「俺さちゃんと心も手に入れたいタイプだから。
何年かかっても何十年かかっても、
絶対俺を好きにさせてみるよ。
…大丈夫?」
橘は相変わらず何も言わない。
ーそりゃそうだ。
私のこと妹のような存在だと思っているだけで好きなわけじゃないから。
悟さんに色々してもらったけど、
何も変わらなかった。
私は俯いて時が過ぎるのを待っていた。
「百合子さん、ちょっとごめんね」
悟さんがそう呟いたと思ったら、
私の頬に手を当てて、顔を近づけてきた。
まるでキスをするかのような距離で、
思わず顔を赤らめながら、
「さ、悟さん」と止めようとした瞬間ー、
「もう我慢できない」
橘が私の手を取り、出口に向かって引っ張られた。
私は突然のことに驚きつつも、
悟さんの方を向くと、
「おめでとう」と口をパクパクしながら手を振っていた。