専属ボディガードへの片思いを諦めたら、甘すぎる豹変が待っていました

「本当に?」

「本当だ。あいつよりも俺の方がずっと…好きだ」

ー悟さんのことを言っているのだろう。

「悟さんは私のこと好きじゃないよ。
あと、私の気持ちも変わってないよ」

そう言って抱き締め返すと、
「本当か? 
もし違ったとしても、俺はもう絶対百合子から離れられない」と更に強く抱き締められた。

「あと、あいつだけ下の名前で呼ぶのは納得できない」

「え?」

「俺も呼ばれてないのに」

少し拗ねている様子に笑ってしまいそうになる。

「仁」

そう言うと橘は驚いた顔をしたあと、
顔を隠してしまった。

ーどういう表情が見たかったのに。

「百合子、悪い私の家に行ってもいいか?
順番がおかしいのはわかっている」

ーおそらく行けばキス以上のこともするのだろう。

私は、
「いいよ、私も行きたい」そう返事をすると、
いつもより危なっかしい運転で橘の家に着いた。

橘の部屋に来るのは初めてだった。

マンションの上層に住んでいて、
部屋のなかは、無駄なものが置いてなかった。

ホテルみたいだな緊張しながらもそんな風に考えていたら、いきなりキスをされた。

何度も繰り返しキスをされて、
呼吸が苦しくなった。

橘がそれに気付いてキスを止めたが、
ネクタイを外してシャツのボタンを取ろうとした。


「ま、待って、シャワー浴びたい」

「ああ。悪い。
あっちがお風呂場だ。着替えを適当に出しとくから使ってくれ」


いきなりこんな展開になって驚いているし、ドキドキが止まれない。

ーせっかくなら、
可愛い下着にしてくれば良かった。

考え出すとキリがないので、
自分のなかの煩悩を消すように、
シャワーを浴びて、すぐ髪と体を洗った。

橘の服を着てみたものの、
身長の差がすごいため、上だけしか着れず、
ミニワンピースのようになってしまった。

「お、お待たせしました」

ー橘はこっちをみたと思ったら、
すぐ目線を外した。

「髪…洗ったのか」

ー普通は洗わないのか。
恋愛経験が乏しすぎて、髪を洗わない選択肢がなかった。
こっちを見てくれないし、がっかりさせてしまったかもしれない。

「ごめん、洗っちゃった。
すぐ乾かすね」

「いや、大丈夫だ。
俺も入ってくる。ここのドライヤーを使ってゆっくりしていてくれ」
< 20 / 23 >

この作品をシェア

pagetop