俺の先輩自称殿−本当のお名前なんですか?‐
目が覚めて、2日後。
精密検査でも異常が見つからなかった俺は、晴れて退院できた。

両手いっぱいでも抱えきれないバナナを抱えて、病院を後にする。

これで、明日からはまた、高校生活に戻れるってもんだ。

うーん!
思いっきりノビをする。

予想外に外の空気が冷たいのが残念だが(出来れば俺の11月、文化祭という楽しい行事を返して欲しいものである)、ぐっさり背中から矢が突き刺さったにもかかわらず生き延びていられたのも運が向いてきた証拠に違いない。

入院のお陰で、体重だって5キロも減ったんだ。

4月になれば、殿も晴れて大学生になるだろうし。
いや、何になってもらってもいいんだけど。この高校さえ卒業してどこかに行ってくれれば。

うん、何かいいことありそうな予感。

煌く冬の日差しを見つめながら、俺はそんなことを考えていた。



もちろん、自分が殿の予言どおりバナナの皮で滑って死ぬ日がそう遠くないうちに来るなんて、この時の俺はこれっぽっちも考えちゃいなかった。


【続く】

咲弥つばめさん著
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