桜が咲く時まで、生きていたい
宗一郎said

今日は、姫の様子がおかしい。

普通に過ごしていたけど、少し暗かった。

放課後になり、一緒に帰ろうと誘ったが、いつものメンバーで遊びに行くらしく、断られた。

入学した時から一目惚れしていた女の子が、今は彼女になってる。

入学式の日、学校の裏にある大きな桜の木を静かに見ていた彼女、染島姫奈に恋をした。

それからというもの、別の女の子から告白されても一度も付き合ったことはなかった。

「今日はオヒメサマと一緒に帰るんじゃないのか」

「友達と遊ぶんだってよ」

「…宗一郎拗ねてる」

ふっと笑う2人。

「まぁ、俺はよかったなと思ってるよ。だってお前一年の頃から好きだっただろ?ファンクラブのクラブ長にまでなってさ」

「お姫様、そのこと知ってるの?」

「知ってるわけないだろ。てか、なんで2人は姫のことお姫様呼びなんだよ」

「だって…、なんかオヒメサマって感じじゃん。でもさ、なんか最近はテンシサマって感じがする」

「はぁ?何言ってんだ姫はいつも天使だが」

「…春樹の言いたいこと、わかる気がする。なんか、気づいたらいなくなっちゃいそう」

「そうそう」

すると、突然教室の入り口から春樹を呼ぶ声が聞こえた。

「あ、あの…!春樹くん!ちょっといいかな?」

「だってよ春樹、お呼び出しだぞー」

チッ…

「お前舌打ちした?」

「…春樹、キャラ」

「おっと、危ない。それじゃあ行ってくる」

「おーよ」

実はこの春樹、学校では頭のいいクール系を演じているが、本性は口が悪く、まるでヤンキーだ。

それから五分と経たず戻ってきた。

「…最短記録更新?」

「で?あの子3-Aの可愛くて有名な子だろ?」

「はぁ?確かに、可愛いかもしれないけど、少なくともお前の彼女のほうが可愛いと思うけど」

「おい、姫と比べるなよ」

「…お姫様と比べたらいけないと思う」

「俺にとってのお姫様もいるからね」

そう、この春樹にも好きな女子がいるのだ。その相手がなんと、同じクラスで、姫奈の友達でもある瑠花だ。

「お前、告ったりしねぇの?」

「うーん、考えてはいるけどね…」

そして、告白されるのには慣れているくせして告白する側になるとビビっている。

「何やってんだか…もうあと9ヶ月で卒業だぞ?」

「わかってるよ」

そのあと久しぶりに3人で帰った。

家に帰ってから夕飯を食べお風呂に入る。

ひと段落してからスマホをみると、珍しく姫奈からの連絡が一つも来ていなかった。

いつもなら、何かしら来ているはずである。

「何かあった…?」

またこの間のように倒れかけていたりしているのではと思い連絡を入れる。

電話もしてみたが出なかった。

とりあえず待ってみようと思い、気を紛らわせるためにテレビを見ていると、姫奈からの電話がかかってきた。

ほっとしつつ、電話に出る。

電話越しでの姫奈もかわいい。

いつまでも聞いていられる。

できるなら、ずっと俺のそばにいてほしい。

そう、願わずにはいられなかった。
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