すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 そのあと、私たちはハルトマン侯爵に案内され、エレノア様のいらっしゃる貴賓室へ通された。
 部屋にはすでにエレノア様とカレンが待機しており、扉を開けた瞬間、エレノア様が私を見るなり小さく声をあげ、急いでこちらへ駆け寄ってきた。

「レイラ、会いたかったわ」
「私もです、おばあ様。今日はとても素敵ですね」
「ふふ、着飾るのは久しぶりよ」

 エレノア様はまるで本物の王女のように気品あふれる装いだった。
 淡い薔薇色のドレスに繊細な刺繍が施され、胸もとには深紅の宝石が輝いている。その姿は年齢を感じさせないほど美しく、私は思わず見とれてしまった。

 カレンとも丁寧に挨拶を交わし、ひとときの穏やかな談笑が続いた。

「息子たちも会いたがっていたわ。また顔を見せに来て」
「はい、ぜひ伺います」

 そんな和やかな雰囲気の中、ふと話題は私とエリオスの縁談へと移っていった。


「もうお嫁に行ってしまうの? 寂しいわ」

 エレノア様の言葉に、そのとなりでハルトマン侯爵が穏やかに笑って答えた。

「レイラの幸せを思えば自然な流れだよ」
「そうだけど、たまには顔を見せてちょうだいね」

 私は微笑みながら「はい」と返した。

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