Secret love.
その日の仕事が終わると、大体は待ち合わせをして一緒に帰るのが当たり前になった。
及川くんが残業になった時は電車で帰宅するし、私が残業になった時は及川くんが車で迎えに来てくれたりもする。
何も連絡が来ていない日は駐車場に向かってそのまま車に乗り込む。
「おまたせ。」
「お疲れ。残業なんなかったんだ。」
「私もやれば出来るってもんですよ。年度明けで死んでるけど。」
「マジでお疲れ。」
経理にとって4月は結構忙しくて、定時で帰れる日が少なく5年目の記念日の休みを勝ち取るために休日出勤までしていたほどだ。
最近は少しずつ落ち着き始めていてようやく定時で上がれる日が増えた。
「落ち着いたらどっか行く?」
「どっかって?」
「どこでも、旅行でも何でも。」
「それは仕事モチベ上がっちゃうなあ。」
社員旅行の後2人でホテルに泊まったりはしたけれど、旅行に含まれるかは微妙だった。久しぶりにどこか出かけようの提案に少しテンションが上がる。
及川くんだって疲れているはずなのに、甘やかそうとしてくれているその気持ちが嬉しかったりする。
「及川くんは行きたいところ無いの?」
「疲れてんならまた温泉行ってもいいな。社員旅行の時全然ゆっくりできなかったし。」
「懐かしい。京都とかもいいかもね。」
この旅行の計画を立てる段階から既に楽しい。まだ仕事も完全に落ち着いたわけでは無いのに、もう浮かれて調べてしまっている。