君か教えてくれたこと

入学

鳴雪side


まだ少し硬い制服に袖を通す朝。


テレビでは『本日、入学式!』と、新生活を迎える高校生たちが映し出されていた。


『部活も勉強も頑張りたいです!』
『彼女ほしいです!』


桜の下で笑う新入生たちをぼんやり眺めながら、食パンをかじる。


今日から私も高校一年生。
当たり前だけど、この前まで中学生だったのに『今日から高校生!』って何か変な感じだ。


私が通うのは私立花陽高校(かようこうこう)。
学力はそこそこ高いが、制服が可愛いことで有名。
新しく建て替えられた校舎も人気で、この学校に入るために頑張って勉強する子も多いらしい。


ちなみに私の志望理由はというと
――家から近い。
以上。


電車通学は面倒だし、できれば徒歩か自転車で通いたくて。条件的に一番良かったのが花高(はなこう)だった。


食べ終えた皿を流しへ運び、そのまま軽く洗う。
窓から差し込む朝日で、水滴がきらりと光った。


時計を見るとまだ予定の時間よりだいぶ早い。
……ぼちぼち準備しとこうかな。


制服に着替え、歯を磨いて、日焼け止めとリップだけ。
最後に前髪を少し整えて完成。


「……何持っていけばいいんだろ。」


入学式だけだから荷物なんてほとんどない。
新品のスクールバッグはぺたんこのままで、なんだか少し間抜けに見えた。


まあ、いいか。
今日は午前中で終わるし、ゆっくり歩いて行こう。


イヤホンを耳につけ、お気に入りの曲を流す。
ローファーを履いて玄関を開けると、春らしい風が頬を撫でた。
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