好きです、先輩。
現実







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その出来事は仕事終わりの深夜、帰宅しようとしていた時のことだった。



車に乗り込んだタイミングで、見計らっていたかのように電話がなった。


チラリと確認すると、着信相手は中学の同級生だった。



どうせくだらない内容なんだろうなぁ。



電話という行為が元から苦手な私にとって、どんなに仲が良い友人相手であってもそれは変わらず、電話に出ることは憂鬱なのである。



しかし、今回はそれだけではない。



仕事終わりで疲労困憊の中、友人のくだらない話に相槌を打たなければならない。


正直な話、億劫である。


しかし、このときの私は先輩のことで浮かれており、無敵であった。







「もしもし!」








その日は珍しくうきうきとした気持ちで電話をとった。



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