罪な僕は君と幸せになっていいだろうか

付き合ってない

「ねえみんな聞いて!会長に彼氏ができたらしい!!」
そんな噂がまわったのは、旅行に行った後のことだった。
月海くんと旅行に行ったのを見ていた生徒がいたみたいで、あっという間に噂が広がってしまった。
もともと男好きの噂あったし、仕方ないよね。
「鷹栖〜。なんか俺、鷹栖と付き合ってんのかって聞かれたんだけど。付き合ってないよな?」
「いや、何でそれを僕に聞くの。付き合ってないじゃん」
「そうだよなー」
何をそんなに考える必要があるのか。
というか、しっかり否定してもらわないと困るんだけど。
誤解を生んでさらに嫌な噂をたてられるかもしれないし。
「ちゃんと否定してるよね?」
「んーと……」
あれ?
その反応、もしかして。
「君、まさか彼氏だとか言ってないよね?」
「ダメだぞー月海くん」
「うわ!って、なんだ琉偉か…」
いつのまにか真後ろにいた琉偉に驚く。
いつからいたんだろう。
「蒼唯、月海くんってば否定も肯定もしないんだ。そのせいで本当に付き合ってるところまで発展してるんだぜ?いい迷惑だよな〜」
「別に答える必要ないだろ」
ニヤニヤされるのが嫌なのか、月海くんは少し不機嫌だ。
「いい迷惑」
僕がそういうと、月海くんは明らかに落ち込んだ様子を見せた。
なんでそんなふうになるのか不思議だ。
だって僕達は友人じゃないか。
月海くんは僕のこと恋愛対象で見てないだろうし。
「あ!そうだ蒼唯。今度月海くんも連れて遊園地行こうよ」
「えっ、遊園地!?」
僕は“遊園地”という言葉に反応する。
この前、月海くんと一緒に行こうと話していたからだ。
嬉しい僕とは裏腹に、月海くんはやっぱり不満げだった。
「なんで卯月も一緒なわけ〜?俺は鷹栖とふたりでいいんだけど」
「それなら月海くんは来なくても結構だよ?蒼唯とふたりっきりで行ってくるから」
なんだかこのふたり、見えない火花が散ってるような?
何でこんなことに…。
できれば、ふたりには仲良くしてほしいんだけどな。
「3人じゃダメなのかな…?」
僕が聞くと、ふたりして大きなため息をついた。
「仕方ないか」
「そうだな。ここは仲良く3人だな」
それじゃあやっぱり不満なのだろう。
これでみんな仲良くなってくれるといいんだけど。
ーーーーー
次の土曜日、僕達はプレオープンされている遊園地に来た。
琉偉のお父さんからチケットをもらったらしい。
プレオープンは招待された人しか来れないし、学校の人達にも見られなくていいよね。
って、僕は何を気にしてるんだ。
「晴れてよかったな〜!うっし!全部まわるぞー!!」
「暑苦しいなぁ月海くんは」
嫌味を言われてるみたいだったけど、月海くんは無視していた。
それから、月海くんは僕にパンフレットを見せてくる。
「鷹栖は何に乗りたい?」
「僕が決めていいの?」
「鷹栖のために来たようなもんだし!」
「そうそう」
月海くんも琉偉もそう言ってくれるので、僕は乗りたいものを指差した。
「僕、あれ乗ってみたい」
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