推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
第九話 わたしがぜったいに守ってみせる!
わたしたちの前に突然現れた、黒い不気味な影。
多分、あれが――セイレーンの呪いによって創り出されたものだろう。
(でも、何で急に現れたの?)
人魚姫のような姿形をした黒い影は、星穏さんをねらっているみたいだ。
星穏さんに向かって一直線に向かってくる。
わたしは咄嗟に星穏さんの前に飛び出た。
「紗南ちゃん!? 危ないから、下がって…「大丈夫です! わたしが星穏さんを守りますから!」
わたしは背後にいる星穏さんにそう伝えて、迫ってくる黒い影に向き合う。
そしてポケットに入れている式札を取り出して、指ではさんだ。
式札っていうのは、和紙でできている人型をした札のことなの。
「水龍召喚・滅・急急如律令!」
そう唱えれば、小さな水の龍神が目の前に現れる。
これはわたしが契約を交わしている式神の一人で、コンブのような存在なんだ。
呼び出した時にだけ応じて、こうして力を貸してくれるの。
一直線に飛んでいった龍神は黒い影をバクリと飲み込むと、役目は終わったと、その場から姿を消した。