推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
第十二話 わたしにとっての“推し”
「あれ? 紗南ちゃん、何のゲームをしてるの?」
一日の授業が終わり、放課後になった。
悠月とわたしのクラスは、今日は最後の授業が早めに終わったから、ミーティングルームに一番についた。
だから星穏さんたちがくる前に、大好きな“きらアイ”のストーリーを、少しだけでも進めちゃおうって思ったの。
――だけど、思っていたよりもずっと早くミーティングルームにやってきた有栖さんたちに、ゲームをしているところを見られちゃった。
「えっと、これは“きらめき! アイドルプロデュース☆”っていうゲームです!」
「へぇ、聞いたことないなぁ。どんなゲームなの?」
「アイドルを育成するっていうゲームなんです」
「面白そうやん!」
「……もしかしてさ、紗南ちゃんが好きなのってこの子じゃない?」
ちょうどホーム画面に設定していた推しの日向響音くんを見た有栖さんは、確信めいた声で聞いてくる。
「はい、そうです! わたしの推しなんです!」
「やっぱりねぇ。……紗南ちゃんが好きっていうこの男の子さ、何か雰囲気とか、どことなく星穏に似てない?」
有栖さんは、口許に手をそえながら、にまにました顔でそんなことを言ってくる。
星穏さんはきょとんとした顔で自分のことを指さしてから、ゲームの画面に視線を向けた。
「“君は、おれにとって何よりも大切な存在なんだ。“……こんな感じで合うとる?」
ホーム画面に書かれている響音くんの台詞を真似した星穏さんは、照れくさそうに笑っている。