反抗期の七瀬くんに溺愛される方法
第8章 運命のチャイムがなる
足が重くなる。
夏樹の背中を見送りながら歩くと、胸の奥がキュッと締めつけられる。
思わず振り返りたくなるけれど、ぐっとこらえた。
(……行かなきゃ、秋のところに)
時計をちらりと見る。15時25分。あと5分で教室に着かないと、約束を守れない。
心臓が速く打つ。
だけど、夏樹と過ごした時間の楽しさが、頭から離れなかった。
射的の景品をくれたこと。
焼きそばを分け合ったこと。
写真を撮るとき、自然に肩が触れたこと。
全部が、胸をぎゅっと熱くする。
でも、私は足を止めるわけにはいかない。
廊下を曲がると、教室の前に誰もいないことが見えた。
秋はもう来ているのかもしれない。
けれど、まだ教室の扉は閉まっていて、静かに空気だけが揺れていた。
(……間に合うかな)
小春の心は焦る。
そして、教室の前まで来て立ち止まる。
深呼吸をひとつ。
扉の向こうには、秋が待っているはず。
――決めなきゃ、私の答えを。
小さく手を伸ばして扉に触れる。
背中には、まだ夏樹の温もりの余韻が残っていた。
胸の奥の痛みと、これから伝えるべき気持ちへの覚悟が、同時に押し寄せていた――
夏樹の背中を見送りながら歩くと、胸の奥がキュッと締めつけられる。
思わず振り返りたくなるけれど、ぐっとこらえた。
(……行かなきゃ、秋のところに)
時計をちらりと見る。15時25分。あと5分で教室に着かないと、約束を守れない。
心臓が速く打つ。
だけど、夏樹と過ごした時間の楽しさが、頭から離れなかった。
射的の景品をくれたこと。
焼きそばを分け合ったこと。
写真を撮るとき、自然に肩が触れたこと。
全部が、胸をぎゅっと熱くする。
でも、私は足を止めるわけにはいかない。
廊下を曲がると、教室の前に誰もいないことが見えた。
秋はもう来ているのかもしれない。
けれど、まだ教室の扉は閉まっていて、静かに空気だけが揺れていた。
(……間に合うかな)
小春の心は焦る。
そして、教室の前まで来て立ち止まる。
深呼吸をひとつ。
扉の向こうには、秋が待っているはず。
――決めなきゃ、私の答えを。
小さく手を伸ばして扉に触れる。
背中には、まだ夏樹の温もりの余韻が残っていた。
胸の奥の痛みと、これから伝えるべき気持ちへの覚悟が、同時に押し寄せていた――