嘘つきな天使

「天真ちゃんが言った通り元がいいからあんまりいじる必要性がなかったわ」と美容師さんはちょっと不服そうだったけど

「て、天真!」思わずずっと後ろに控えていた天真を振り返ると、天真は切れ長の目を開いて

「正直ここまで変わるとは」と言って口元を覆った。そしてちょっと顔を逸らす。

な、何。やっぱこんな私に分不相応だったかな。と急に不安になると天真の耳がほんの少し赤くなっていることを見て

に、似合ってるってこと??と改めて気づいた。

「ありがとうございました~」と美容師さんに見送られ私は美容室を後にした。美容室代結構いったろうに天真が支払ってくれた。

自分が望んだことじゃないとは言え、流石に悪い気がしてコーヒーでも奢ろうかと思ってカフェを探した。

しかし

「いくら見た目が変わったっと言ってもその服じゃなー」と天真は顎に手を当て私の全身をまじまじと見つめて目を細めた。

確かに……顔や髪は可愛くしてもらったけど今日の私ボーダーのカットソーにもう十年以上使っている時代遅れの(ついでによれよれの)ダウンコート、ビンテージと言えば聞こえは良いけれど単に履き古したジーンズにボロボロのスニーカー。

「は、恥ずかしいよね、こんな私と並んで歩くの」

「いや、恥ずかしくはない」って天真は言ってくれたけど……

今度お給料が入ったら服を新調して改めて天真をカフェに誘おう、と思っていたが

「よし、次行くぞ」と天真にまた強引に手を掴まれて「つ、次?」どこへ連れていく気!と聞く暇もなく今度はいかにもたっかそーなブティックに連れていかれた。や……無理無理!こんなボロボロの私が入っていったら笑われるだけだよ。

「いらっしゃいませ~、あら天真さん」

天真ってどれだけ顔が広いの、って言うぐらいどこへ行っても天真の顔を見るとどんな客が来ても快く受け入れてくれる。

「こいつに似合う服を何点か見繕ってやってくれ」

て、天真!

「わ、私お金ないよ!給料日だってずっと先だし」だって見るからに高そうな服とか靴かとかアクセサリーが並んでいて、流石に慌てた私は

「誰がお前に払わせると言った」と天真は不服そうに眉を寄せた。

「ではお客様、こちらへ~」とこれまたきれいな店員さんに背中を押され

て、天真ーーーー!!
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